ざつ

SNSで呟くには長すぎる独り言。あとで見返して作品視聴当時の自分がどう感じたのかを知るための記録

猿の惑星(1968)と創世記シリーズ

映画史上、もっとも有名なSF作品の一つ、1968年公開の「猿の惑星」は実に衝撃的な作品でした。観た人の記憶にこびりつくことでしょう。

それから数十年後に制作された創世記シリーズも別の意味で衝撃的かつ印象的です。

 

 

猿の惑星(1968)

正直に申し上げますと、観る前から私は結末はしっていました。現代では猿の惑星のネタバレをくらう機会がたくさんあります。私もその被害者でした。しかし、この作品はそれでも衝撃的でした。

猿たちはの顔はあきらかに作り物なのに表情が読み取れたりできたのはあのマスク?の製作者の腕が伺えます。同時に不気味な印象を受けました。物語の冒頭で冬眠装置で死亡していた女性の遺体もかなり不気味でした。

猿が知能を持ち、現在でいうと我々人間のように立ち振る舞っている姿と、人間達が動物のように扱われている様子はショッキングです。いずれ我々人間にとってかわる知的生命体が出現するという発想は聞かなくはなかったものの、宇宙人とかではなく、実在する猿がその位置にくると少しは現実味を帯びてくるからです。人間たちは酷い扱いを受けますが、猿からすれば今の我々も同じことをしているでしょう。酷い扱いというか、大きな野生動物を扱うかのような感じですね。

主人公のテイラーには2人の同行者がいましたが、片方は冒頭で猿たちに射殺されており、もう片方の男は生き残ったものの、猿によって脳を弄られ廃人となっていました。この脳を弄られた痕が馬の蹄のような形で、一番衝撃的かつ恐怖したシーンでした。

いわゆる悪役に位置するザイアス博士は一番人間に対して扱いが厳しく、当初は差別的なものと思われました。しかし物語が進むと博士が過去の人間の行いを知っており、その恐怖からくる感情だとわかると悪役ではなく、自分たちの種を守る責任者として自然な反応だとわかります。この世界では人間が戦争だのなんだので文明を滅ぼしただけでなく、地球に大きなダメージも与えた事でしょう。野蛮だといわれて当然です。喋る人間テイラーは、それこそ怖くてたまらなかった事でしょう。すぐに始末しなかったのは他にも喋る人間の集団がないか調べるためだったと思います。

最終的に猿たちから逃れたテイラーは、海岸で半分埋まっている自由の女神像をみて、はじめて自分が地球にいることと人類の運命を理解し、人類を罵倒します。有名なシーンですね。

結末が恐ろしいことと、最近のハッピーエンドばかりの映画に慣れきった私にはインパクトのある作品でした。まさに名作、誰もが観るべき映画です。

 

創世記シリーズ

長くなるのでなるべく簡潔にいきます。

創世記シリーズは1968年の映画の前日譚にあたる3作です。いかにして、猿達が知恵をつけ、人間が自らを滅ぼしてしまったのかを描いています。

当初、あの名作に後付けで細かく説明までするなんて、なんと無粋な事をしてくれたのかと思いました。しかし、3作すべてを観終え、これも一つの解釈として受け入れられました。実際いい作品群です。

ばーっというと、アルツハイマー治療薬を作ろうとして猿に実験投与をしていたら、その猿の知能が発達してしまい、その猿が他の猿たちに広めたため、知能が発達した猿軍団ができたという事です。逆に人間の知能を著しく低下させるウィルスがものすごいスピードで感染が拡大してオリジナル映画の人間たちになってしまったとのことです。この時点で猿は喋れません。ボディーランゲージでコミュニケーションをとります。1作目ではこの部分がフォーカスです。

3作とも主人公はチンパンジーのシーザーという猿で、彼が最初に知能を発達させた猿です。彼の研究者は愛情をもって接してくれたため、すべての人間が悪ではないと理解しています。

2作目ではすでに人間の多くは滅んでおり、小さな集団で固まっておりました。猿たちも集団で森に巣作って、互いに干渉は避けているようでした。人間は文明の復興を望んでおり、そのためにいろんな場所から材料などを集めようとして猿の領域を侵し、人間対猿の戦いが起こります。それと同時に猿側に人間に強い憎しみを持ち、人間を滅ぼしたいコバという凶暴な猿もいて、彼はリーダーのシーザーに恩はあるものの、人間に対して甘すぎると感じ、いずれ牙をむけます。シーザー対コバに決着をつけ、人間も結構生き残って2作目は終わり。シーザーなど一部の猿は喋り簡単な単語を喋り始めます。

 

3作目はいよいよ人間の終焉です。安息地を探すシーザーの群れと、人間の軍隊との争いです。今度こそ人間対猿となります。シーザーや他の猿たちは人間に捕まり、拷問をうけたり脱走して人間と戦います。見どころは猿たちの間のヒューマンドラマ、もといエイプドラマといったところでしょうか。人間の兵器に恐れをなして人間側につく猿達、裏切りや死の悲しみなど、色々起こります。いろいろ端折りますが、人間側の司令官が知能が低下するガスかなにかを吸ってしまいます。シーザーをみて、赤ん坊のように怖がる憎き敵司令官をみたときのシーザーの反応ときたら……。最後に人間の軍隊と別の軍隊(カナダだったかな?)が交戦してたり、シーザーが新天地にたどり着き、息を引き取ったりして終わりました。

正直、3作目がなければこのシリーズは後付け乙で処理するつもりでしたが3作目で一気に引き込まれました。私はアクションとかよりドラマの方が好きなのでしょうね。シーザーとその側近のキャラがよく描かれていたことが、この映画の魅力ですね。

 

機会があれば、観てください。