ざつ

SNSで呟くには長すぎる独り言。あとで見返して作品視聴当時の自分がどう感じたのかを知るための記録

デビルマンCrybaby 感想 カオス

デビルマンCrybaby(以下、crybaby)というアニメ全10話を視聴しました。私は原作漫画も、過去のアニメも未視聴ですので、そらとの比較はできませんが、crybaby単体はいい作品だと思いました。

 

私が今まで視聴してきたアニメの中でも最も容赦のないアニメでした。ヒロインも含む登場人物全員いつ命を落としてもおかしくない緊張感があります。残酷的な描写もありますが、独特なアートスタイルで軽減されています。

アートスタイルといえば、1話の時点でピンときました。やはり四畳半神話体系やピンポンなどを手掛けた湯浅政明が監督していました。crybabyの狂気にまみれた世界観を強調するのに一役買っています。不満があるとすれば、暗すぎて何が起きてるか分からない場面がいくつかあったことです。目立って変というかネタにされてそうなのは幸田やミコの走行シーンです。私も少し笑いましたがあまり気になりませんでした。

 

あらすじをネタバレ抜きで説明しますと、主人公不動明がある事件で悪魔を身に宿します。本来そのまま悪魔に乗っ取られるのですが、不動は人間の心を持ったまま、悪魔の力も駆使できるハイブリット、デビルマンとなりました。その強力な力で人間世界に潜む悪魔達を倒すお話です。これが前半で、後半からは悪魔の存在が世間に公表され、疑心暗鬼になった人類の様を見せられます。恐怖にかられた集団心理の怖さなどもテーマの一つです。

 

この作品は万人にはおすすめしません。グロやエロなど成人向けの描写があります。ベルセルク寄生獣が好きな方にはおすすめです。どちらにも似通った部分があります。

 

以下ネタバレ含み、視聴を前提として書きます

 

 

演出

先述した通り、アニメーションが独特です。写実派というよりは印象派みたいな感じで、強調する部分は物凄く強調したりするタイプのスタイルです。Crybabyの狂乱な世界を強調しています。本来と違う色を使う演出も湯浅監督らしいですね。

各話の「引き」の部分はサスペンスを引き起こすのがうまく、ついつい次の話を見てしまいました。ED曲もうまく利用し、エンドクレジットまでスムーズに繋げていました。

音楽は個人的に物凄く好きです。世界観にマッチしていて盛り上げる場面でしっかり盛り上げてくれます。恐らく実際には数曲のベースの曲とそのアレンジでまかなっていたのですが、曲が少ないなーと感じる事はありませんでした。

本作ではSNSや動画投稿サイトなどが出てきます。原作は確か1970年代でしたので、この辺りは明確にCrybabyのアレンジですね。世間の反応や世論を簡単に描写できます。私個人はアニメのネット関連の描写はあまり好きではありませんが。

この作品にラッパーが登場しますが、どうやら本物のラッパーが声を当てたりしている様です。いい味を出していると思います。

 

演技

声優さんの演技は良かったと思います。子供時代の明と了は恐らく実際の子供を使っていた様に思われます。そうでなくても私がそう感じたレベルに演技が上手かったのでしょう。

英語の演技もアニメにしては異様に上手でした。Engrishではなく、Englishでした。

8話での牧村家の親父ノエルの演技もアニメーション含め、迫真でした。どうしていいか分からない痛々しさを感じました。

美樹も刺された際の悲鳴が素晴らしかったです。綺麗な悲鳴ではなく、ちゃんと痛そうでした。

 

最終決戦

デビルマンVS悪魔VS人間の大決戦は、壮大なBGMもあってスペクタクルでした。単に明VS了だけでなく、他の戦いも見所です。人間がサイコジェニーを倒したシーンは、サイコジェニーが左右確認してて笑いました。サイコジェニーの電波攻撃が鉛は通さないなら何故あの兵士達は相打ちになってしまったのでしょうか?知りません。

なぜだか知りませんが、実験されてるデビルマンを解放するため、天井を張っていたカエルとナメクジのキメラみたいなデビルマンが好きでした。

明が体のパーツを失う度、自分を犠牲にするデビルマン達も好きです。かなり勇気のある行動であるとともに、明が彼らの希望である事を信じている様子が伺えます。

 

結末

了は明を死なせてしまって初めて愛に気づきます。それと共に神世界をやり直すため、世界を破壊します。要するにゲームでいう「はじめから」をしたわけです。今度の地球は月が2つあるそうです。また同じ悲劇を繰り返すかは不明です。ループものなのか、あるいは全く違う地球になるかは想像におまかせしますENDですかね。

 

気になった点

たった10話の中で、大して重要でもないカメラマンに時間を割きすぎた様に感じます。彼は美樹を悪魔に襲わせる展開を作るため以外に何の役にも立っていない様に感じました。美樹に明がデビルマンだとバレたら了に始末されるというサスペンスも、この一度っきりだけでしたし、美樹がこの後明をしつこく疑う様子もありませんでした。

幸田とククン(指にButterflyと書かれていた人)が紛らわしい。髪がちょっと似てるだけで別キャラじゃんと思われるかもしれませんが、この作品では悪魔と融合すると見た目が結構変わります。ミーコがその代表例です。そんな中、1話でちらっと出てきて忘れられがちな幸田が、ククンとミーコがサバトで悪魔に襲われた次の話で再登場するから勘違いしました。ミーコは悪魔に取り憑かれたので同様にククンもそうだと思っていました。少し混乱しましたが、途中で勘違いに気がつきました。この記事で、盛んにククンククン言っていますが、作中だと名前はほとんど出てこず、Wikiで調べるまでしりませんでした。

ラッパー達のメンバーの裏切りの理由も初見では少々分かりにくかったです。ワム(キャップの人)とガビ(ドレッド)は味方側、ヒエ(ビートボックスの目隠れ)とバボ(麦わら帽子のノッポ)が裏切り側につきました。ヒエはミーコのカバンからククンのサングラスが滑り落ちるのを目撃したため、恐らく仲間の敵討ちか、あるいはミーコが人を襲う悪魔だと確信したから裏切ったのでしょう。もちろんミーコがククンを食った確実な証拠ではありませんが、ヒエからするとその後悪魔に変身したミーコを見て決めつけたのでしょう。バボは特徴0のモブ野郎なので初見だと存在を忘れていました。彼はまぁ、単純に牧村家に集った人間達に逆らう勇気がなかったのでしょう。

ゼノンとは何者だったのでしょう。 8話で明をボコしてそのあと了のアパート爆破し、あっさりサイコジェニーらに粛清されて消えたよくわからない存在でした。明を圧倒していたのでさぞ重要なポジションかと思いきやコレですので、恐らく原作で何か重要な役割を果たしていたのでしょう。例えば本来、最終決戦はデビルマン、悪魔(サタン一派)、悪魔(ゼノン一派)、人間の四つ巴だったが、アニメにするにはあまりにごちゃごちゃしすぎるために省いたとかですかね。

シレーヌとカイムの最後が唐突でした。なんかアンチクライマックスというか、もう死んでると知った時、「え?そ、……そうなんだ……」って反応しかできませんでした。シレーヌ戦は特に暗くてて何が起きてるか分かりませんでした。

 

結論

間違いなく地上波では流せないアニメでしょう。その点、ネットフリックスはいいプラットフォームだと思います。基本ネットフリックオリジナルアニメは、放映権を買っていて制作には関わっていないそうですが、デビルマンCrybabyの様に、通常だと実現しないアニメ化をしてくれるなら素晴らしい事だと思います。

私はこれしかデビルマンを知りませんが、いいアニメだと思いました。やはり9話ラストなどは不快感がこみ上げてきましたが、これだけ感情を引き起こしてくるアニメはいいものです。原作といかにかけ離れているか気になりますね。