ざつ

SNSで呟くには長すぎる独り言。あとで見返して作品視聴当時の自分がどう感じたのかを知るための記録

12人の怒れる男について考える

映画12人の怒れる男で各証言などに対する議論について自分なりの考え。

 

 

ナイフの件
検証側の証拠が弱すぎる。いち店主の「他には見たことがない」の発言を信じすぎている気がする。事実、店の近所に同じ物が普通に売っていた。8番がこれを見せた時点で件の店主の信憑性はないといっていい。
容疑者少年はナイフなんてある程度重みのあるもの、ポケットから落として気が付かないわけがないと思うが、少なくともナイフの証拠は少し弱まった。

 

老人の証言
脳卒中(stroke)が原因で足が不自由になった老人の証言。一応歩くことはできるらしいが、足を引きずる老人のスピードはかなり遅い。
老人の証言した秒数はもしかしたら見栄で早めに申告したかもしれないが、いずれにしても彼の証言は信憑性が弱い事には変わりない。

 

映画の件
これが一番無理があったと思う。いくらなんでも見た映画のタイトルくらいはわかるでしょ。でなければどんな映画かを説明するくらいはできたはず。
親父に殴られた精神ショックだとか言っていたが、その前に毎日殴られてきた、暴力は彼にとって日常だと8番自身が言っていたのに今更そんなショック受けるものなのか。毎日殴られる度に映画のタイトルすら覚えられないくらいのショックを受けているのか。
どちらかというと親父が死んだショックで頭が真っ白になっていたという説明のほうが自分はしっくりくる。
4番への質問もなんの立証にもなっていない。少年はどう考えても24時間以内に映画の件を聞かれたのに対し、4番が答えられなかったのは数日前の2本立て映画の無名脇役の演者。タイトルはちょっと間違えていても覚えていたし、主演は覚えていた。大好きな映画だがこの部分だけは弱いと言わざるを得ない。


ナイフの刺し方
これにはまぁ納得。衝動的にせよ、計画的にせよわざわざあの角度で刺す理由がない。計画的だったら他にも細工をするべき所があったはず。
とはいえいくら身長が高かろうが、普通の持ち方で大人の胸部をあの角度で刺すのは無理があると思う。どんな身長であったにせよ逆手持ちであろう。
容疑者少年はナイフの扱いに手慣れており、この犯行も口論からの衝動的なものだという前提があったので、とっさに逆手に持つことはないだろうから作中の説明もなるほどと納得しました。

 

女性の証言
若作りしている時点で見た目に気を使う人なので、多くの人に注目される証言席でメガネをかけたがらないのは説得力高すぎる。今でも女性は基本コンタクトにしたがるからね。横になっているときにメガネかけると寝返りなどで壊れたり曲がったりするリスクがある。作中の時代だとまだメガネはそれなりに高価だったと思う。スラム暮らしの人がメガネを壊すリスク犯すとは考えにくい。
遠視だったとしてもそれを確かめるすべはなかったので証言が弱まるのも納得。これには一番論理的だった4番も鞍替えする。

 

なにはともあれこの映画は目にも優しく耳にも優しいから好きです。