ザ・ミスト 映画 感想
パニック映画でも評価が高いようなので、観てみました。
恐怖だけでない様々な感情を引き出してくる良い映画でした。突然謎の霧に包まれた集団がスーパーにこもりつつ、霧の中に潜む怪物から生き残ろうとするパニックもの?です。霧の中の怪物をゾンビやサメなどに置き換えれば良くあるシナリオですね。
怪物だけでなく、人間側の敵役もいい味をだしていました。制作陣の狙った感情を引き出すの上手かったです。人によっては悪役ではないので、(主人公に対する)敵役という事で。
この作品、敵役や展開など評価が高いのもうなずけました。怪物のデザインも個人的に好きです。いろいろ考えさせる映画でした。パニック映画だけでなく、普通に映画として楽しめました。個人的にはおすすめです。
以下、ネタバレ含みます
ある意味パニック映画における主人公勢の勇猛さに対するアンチテーゼのような感じでした。
戦わず待つのが正解な場合もある。この作品でも主人公側は勇気をだして立てこもっていた場所から何度かリスクを冒して出ています。その度に仲間が死んでしまう上、その事をしっかりと「余計な事するな派」にとがめられていました。この咎めていたのが人間側の敵役の女性。彼女は最初は宗教的な事を一人で説いていたウザいだけの人でしたが、希望が消えるにつれ彼女の話にすがる人も増えてきてこっちの面でもホラーでした。すがるものが必要な人間の精神性を描くのに素晴らしいキャラでした。
理屈の内容はどうあれ彼女、あるいは居残り派が正しい選択を選んだ事にあります。軍がスーパーにつくまでに何も起こってい前提ですが。居残り派は積極的に居残りを選択したというよりも、出ていく勇気がなくただただ怯えながら生きながらえる現状維持、つまり選択しなかったわけですが、それで正解だったのはこの映画の凄い所ですね。
主人公側が間違っていたのは結果論ではないか?と思うかもしれません。実際後もう少し待てばそこそこハッピーエンドだったでしょう。主人公たちの最期の脱出は数名犠牲になっています。これに加えてボンネットの銃をとってしまった事。これは怪物に襲われた時の護身に役立つつもりだったのですが、皮肉にも悲しい結末の原因となってしまいました。一見して良い選択が悪い結果につながる事もある、といったところでしょうか。
結末は二人のおじさんが穴を掘っていて、片方は宝石の埋まっている直前で諦めてしまった画像を思い出しました。やるせない結果ですね。主人公のその後を想像すると非常にキツイですね。この結末にした制作陣には尊敬の念しかありません。
パニック映画におけるバッドエンドは他にも見た事がありますが、この作品のそれは主人公が生き残らせたのが非常に残酷ですね。