ざつ

SNSで呟くには長すぎる独り言。あとで見返して作品視聴当時の自分がどう感じたのかを知るための記録

プラトーン(1986) 感想

プラトーンベトナム戦争を題材とした戦争映画です。

舞台はジャングルでの虫の厄介さ、激しい天候、過酷な行軍・戦闘、待ち伏せ、村の略奪、モラル、仲間への不信など気の休まる暇のない映画です。大雨の中、敵の奇襲を警戒しながら地べたで寝ざるを得ないのはゾッとしますよね。昔ベトナムではなく、マレーシアにいた事があるので分かりますが、あのあたりの激しい雨は音が激しく、雨粒もでかいので大変でしょうね。音で敵の足音なども捕捉できないでしょうし。その上虫もいます。作中は赤蟻とヤスデが登場します。

 

主人公はテイラーというボンボンの少年。他の兵士はやむを得ず志願せざるを得なかった貧しい家庭出身だが、テイラーは大学を中退して自らの意志で志願した変わり者。それゆえに他の兵士から下に見られたり嘲笑や嫌がらせの対象になる。のっけから行軍についていけずに倒れたりする。いうまでもなく、テイラーの人生観の変わった経験でしょう。

 

登場人物は徐々に見分けが付くようになります。といっても、最低限覚える必要のある重要人物は多くはありません。主人公、エリアス軍曹、バーンズ軍曹くらいです。他にもジュニアやキングなどもいますが、やはり先の3人が映画の中核です。

 

ネタバレ注意

 

 

村襲撃

個人的に印象的な場面その1。

アメリカ軍がベトナムの小さな村を一つ滅ぼす序盤~中盤あたりのシーンです。村人の抵抗や抗議をしているシーンは、つい気持ちはわかるけど大人しくしててくれ~殺されるぞと思ってしまいました。実際撃たれました。その後穀物や家畜はダメにし、武器や村は焼き払ってベトナム軍が使えないようにしました。

兵の中には村人の中に敵兵が紛れている恐怖心でつい暴力的になった人もいますが、略奪を楽しんでいた人もいました。そういった行為が隊内に亀裂をいれ、エリアス軍曹派とバーンズ軍曹派に割れました。

こういった自国の軍の過ちをしっかり描写する所が監督の凄い所で、この映画のメッセージをより強くしたと思います。

 

エリアス軍曹の最後の戦い

エリアス軍曹がバーンズに撃たれ、死亡したものと思われた後、隊がヘリで撤退する際にみたのが大勢の敵軍に追われる手負いのエリアス軍曹でした。なんとかヘリから援護するもエリアスは絶命。最後の両腕を上げながら崩落していくシーンは印象的な場面その2でした。おそらく映画のカバーアートにも使われている場面です。

俯瞰からみるエリアス軍曹の独走から絶望感は半端ないですね。味方から撃たれただけでなく、自軍が自分だけ置いて撤退していくのですから。エリアスは好きなキャラだっただけにつらかったですね。

 

テイラー最後の夜戦

テイラーが最後に参加した戦い。夜に敵兵の襲撃から始まり、激戦となった。敵兵が通信テントに特攻したり、味方の軍に自分たちのいる戦場に空襲の要請を出したりして多くのネームドキャラが命を落とします。テイラーは同じ防空壕にいたフランシスと共にヤケの突撃をかまし、それがよかったのか両名この地獄を生き抜きます。

夜は明け、テイラーはひどく負傷したバーンズを発見しエリアスの仇と言わんばかりに留めをさします。個人的にはあまりカタルシスはありませんでした。予想できたのと、バーンズがテイラーに殺されるのを受け入れたからでしょうね。

負傷の酷かったテイラーはフランシス含む他の兵と共にヘリに運ばれ戦場を離れ、テイラーの独白、「我々が戦ったのは敵兵ではない、自分たちだ」で幕を閉じます。

 

 

名作と名高いのも納得の素晴らしい映画でした。実際にベトナム戦争を体験した監督による作品な事も加え、見事な演技やエフェクトでリアリティのある作品でした。戦争映画はあまり見てこなかったのですが、これからもう少しみてみようかと思います。