ざつ

SNSで呟くには長すぎる独り言。あとで見返して作品視聴当時の自分がどう感じたのかを知るための記録

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 感想 美しい

一目見て、ヴァイオレット・エヴァーガーデンは非常に美しいビジュアルを持つアニメだとわかりますが、ストーリーも美しいものです。美しすぎて心が打たれました。打たれすぎて心がズタボロにされた気分でした。きっと私の心は汚かったのでしょう。想いを乗せた美しい手紙を綴ったり届けたりするヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界と比べ、私の郵便受けには広告だの請求書だのしか届きません。こんな私だからこそ、この様な作品に心が打たれたのでしょう。

 

以下ネタバレ

 設定の妙

この作品は世界観の設定をフルに活用した素晴らしい作品です。時代が戦後ということで、感情を知らない主人公、ヴァイオレット・エヴァーガーデンにとって多くの感情に触れる機会があります。彼女は自動書記人形(ドール)という、タイプライターで手紙の代筆作業を行う職につきます。作業には顧客の言葉をそのまま文字にするだけでなく、話から伝えたい本当の気持ちを汲み取って手紙にするという作業も含まれます。ヴァイオレットは当然苦戦しますがお話を通し、顧客の感情に触れ徐々に感情を学んでいきます。そもそもヴァイオレットが感情を学ばなかったのは自身が戦時に戦闘マシーンとして育てられたためです。感情を理解していき、戦時中に自分のやってきたことの重大さに気づいていく様子もしっかり描かれています。

 

ストーリー

基本的に1話1顧客という構成で、顧客と接することで成長していくヴァイオレットが見れます。顧客らもいいキャラです。政治的に結婚させられる姫には意表を突かれました。てっきり結婚自体を嫌がっていると思いきや、姫自身がこの結婚に向かうよう仕向けていて、苛立ちをは単純に相手方の気持ちが見えてこないこと対してでした。

特に気に入っているのは10話です。先の短い顧客の娘、アンの視点で物語が進みます。顧客である母は、ヴァイオレットに手紙を代筆して貰う間、娘のアンを遠ざけます。9話で手紙は人を繋ぐというメッセージを受け取ったヴァイオレットが、今度は残り少ない母娘の時間を奪っているのではないかというお話です。まだ幼いアンは非常にいい子で、視聴者としてつい感情移入をしてします。母親が以来した手紙は死後、毎年アンの誕生日に贈る手紙でした。アンの成長していく姿と共に手紙を読み上げるシーンは涙なしでは見られませんでした。さらにトドメをさす様に、ヴァイオレットが会社に戻って泣く姿も見せられます。屋敷では涙を堪えてたと言った時はもうだめでした。泣きながら泣きました。

大切な人の死や別れに悲しむ人の姿も涙を誘いますが、それを乗り越えて前に進んでいく姿も感動しますね。手紙っていいなぁと思わせるいいアニメです。

 

ヴィジュアル

見た通り、美しいです。全編通して美しいです。背景だけでなく、ヴァイオレットの義手の光沢、タイプライターのアニメーションなど、動きも何もかもしっかり描かれており、目を見張ります。これこそブルーレイで見たいアニメです。

 

気になった点

少佐の生死が気になりました。遺体が見つかっていなかったりしますが、少佐は確実に殉職したものだと思いました。遺体が見つかっていないことにより、ヴァイオレットに微かな希望をチラつかせる残酷な設定だと思っていました。しかし最終話のラストシーンでヴァイオレットが少佐に再会したかもしれない感じで終わりました。これは解釈を視聴者に委ねたのか、それとも今まで遺体を見つかっていないのは、本当に生きていた事にしたいのか、わかりかねました。おそらく製作者もどっちか決定しなかったのでしょう。ちょっとやきもきしますね。生きていたならラストまで意識がなかったのなら納得いきますが、軍や家族にまで内密だったのはどういう事なのでしょうか。あそこで出会ったのが少佐でなければヴァイオレットの満開の笑顔は誰に向けたのか、謎が残ります。

私は細かい理屈は放り投げて少佐だっと信じたいですね。ヴァイオレットが幸せになるのなら、理屈なんてもういいです。

あともう一つ、推進派の兵達はつまらない連中でした。ただ邪魔するためだけに存在していたような奴らでしたね。こいつらがもう少し面白ければ最後の2話ももう少し楽しんでみれたかも知れません。

 

誰にでもおすすめできるアニメ

このアニメは誰にでもおすすめできます。エロやグロもありませんし、少なくともビジュアルの美しさは楽しんでいただけます。想いの乗った手紙の美しさ、まさに傑作です。